若き日本代表エースのオリックスバファローズ山本由伸選手、2021年も大活躍を見せていますね。
東京五輪でもエースとして金メダルに導いてくれた山本選手ですが、独特のフォームに注目が集まっています。
通称「アーム投げ」と呼ばれる珍しい投球フォームですが、彼がどのように身につけたのかを詳しく解説します。
山本由伸のアーム投げとは?
まずそもそも、アーム投げとは一体なんなのでしょうか。
これは陸上競技「やり投げ」の投法に似ていることから名前が付けられたと言われています。
通常ピッチャーは、投げる瞬間に腕をしならせることで速くてキレのあるボールを投げます。
しかしアーム投げの場合、背筋を含めた体全体を使って投げるため、腕のしなりは少なくなります。
腕のしなりを使った投法が常識の野球界では、そもそもアーム投げをする選手はいませんでした。
なぜなら、しなりを使った方がスピードも変化球も質が良くなると考えられていたからです。
理論的にもそのとおりだと思いますし、その投球方法を疑う選手すらもいませんでした。
そんな中、山本由伸選手はアーム投げを積極的に取り入れて体得し、素晴らしい成果を上げています。
ではなぜ、どのように山本選手はアーム投げにチャレンジしたのでしょうか。
アーム投げ習得の時期ときっかけ
山本由伸選手がアーム投げ習得に向けて取り組み始めたのは、1年目シーズン終了後だそうです。
きっかけは、懇意のトレーナーからやり投げトレーニングをオススメされたからとのこと。
その当時のことを、山本選手はこのようにコメントをしています。
今まで誰もいなかったのでかなり否定されたんですけど、(その人を)信じていたので、今までやり続けてきた結果です。あの時(周りから)言われて変えなくてよかったなと思います。
ここでポイントなのは、なんと言っても山本選手の意志の強さでしょう。
高卒1年目19歳の若手選手が、セオリーにないやり投げ投法に挑戦するのは相当な精神力。
経験豊富な先輩やコーチに言われたら普通諦めると思いますが、彼には光が見えてたのでしょうか。
今では独特なアーム投法を自分のものにして、最優秀防御率や奪三振王も獲得しています。
他の選手と同じことをやるのではなく、独自のトレーニングや考えを持つことの重要性を感じますね。
ちなみに、アーム投げを習得するまでにエピソードを古田敦也さんと語っている動画があります。
とても面白い内容になっていますので、ぜひこちらもご覧ください。
アーム投げのトレーニング方法と効果
では、アーム投げを取り入れることの効果や具体的なトレーニングはどんなものでしょうか。
トレーニング方法
山本由伸選手が実際に取り組んでいるのは、ジャベリックスローと言われています。
ジャベリックスローとは、陸上競技のやり投げに似ている競技の一つです。
投げる棒が違っていて、羽根がついた70cmのターボジャブを投げて競うのがジャベリックスロー。
実際にどんなものを投げるのかわかるように、写真を載せておきますね。
これをキャンプなどに持参して、遠投のように投げ込んでフォームを固めているそうです。
実際にその練習シーンをYouTubeにアップしてくれている人がいたので、貼っておきますね。
効果
このジャベリックスローをやることで、どんな効果があるのでしょうか。
いろんなサイトや動画で検証がされているようですが、まとめるとこんな効果があるようです。
ジャベリックスローの効果
肘への負担を軽減した投げ方ができる
体幹をブラさずに投げるフォームの確立
力のを入れる方向を一直線に保てるようになる
体全体を使って投げ込むことができるようになる
ダイナミックなフォームを身につけることができる
山本選手が最も大事だと言っていたのが、1つ目の「肘への負担軽減」です。
1年目シーズン終了時、彼は肘に負荷がかかっていると感じたらしく、解決法を探っていたそうです。
そこでタイミング良くやり投げトレーニングの話を聞いたため、ヒントを求めて取り組み始めたそう。
先ほどお伝えしたとおり、腕をしならせて投げると肘への負荷が大きくなるデメリットがあります。
前田健太選手も先日トミージョン手術をしましたが、多くの一流投手が肘を痛めているのが現状。
アーム投法は肘への負担が小さく怪我のリスクを軽減できるので、今後注目されるかもしれません。
またこのジャベリックスロー、綺麗に真っ直ぐに腕を振らないと矢のように飛んでいきません。
なので、この練習により投げる方向と腕の振りを一致させることができ、より力が伝わった強いボールを投げることができるようになります。
ただし、体幹や筋力や柔軟性がないとアーム投げを使いこなすことはできません。
山本選手に高いポテンシャルがあったため習得できたフォームなので、安易に真似するのは禁物。
トレーニングとしては効果的ですが、ピッチャーの方はアーム投法にするのは控えた方が良いでしょう。
ウエイトトレーニングの必要性
山本選手はジャベリックスロー以外に筋力トレーニングもやっているのでしょうか。
これは本人が言っていたのですが、全くウエイトトレーニングはやっていないそうです。
山本選手は、しなやかさの中の強さを求めているからです。
彼は筋力よりも体幹を重視していて、自分が持つ力や能力を最大限に生かす方針なんだそうです。
かつて、イチロー選手が過剰なウエイトトレーニングに警鐘を鳴らしていたことがありましたね。
ダルビッシュ有選手や大谷翔平選手もウエイト推進派ですが、イチロー選手は全くしなかったそう。
そのインタビューシーンがYouTubeに残っていたので、久しぶりにチェックして見ましょう。
山本選手の考え方としては、イチロー選手に少し近いのかなと感じましたね。
二人とも細身でしなやかな筋肉を持っているタイプなので、ヒントになる共通点だと思います。
ちなみに、オリックスで山本由伸選手と並ぶ若きエースといえば宮城大弥選手。
2021年大ブレイクした左腕ですが、彼は山本選手と違い、謎めいた天然キャラで大人気です。
壮絶な貧乏生活エピソードもとても面白いので、ぜひ宮城選手も注目して欲しいなと思っています。
オリックス宮城大弥の壮絶貧乏伝説!幼少期から学生時代のエピソードまとめ
まとめ
以上、オリックスの大エース山本由伸選手のアーム投法について色々ご紹介してきました。
新しいフォームを習得した彼が、今後どこまで活躍を継続していけるかが非常に楽しみです。
メジャー挑戦の噂もありますが、ぜひアメリカの舞台でどこまで通用するか試して欲しいですね。